日本に本格的にヨーロッパの食文化が流入し始めた時期は、明治維新の後になります。それ以前の戦国時代などにも各地に伝わってはいましたが、一部の大名などが食するだけで、庶民にもヨーロッパの料理が広まったとはいえません。
しかし、明治維新後は一気に外国の食文化、加工食品が流入して庶民にまで広まりました。そのうち日本の企業も外来の加工食品をまねするようになり、試行錯誤の末に現在に至っています。生活の中に密着し過ぎて、外国で生まれたと忘れているような加工食品すらあります。
そこで今回は、ヨーロッパで生まれ、日本に伝わって日本でも当たり前のように食されている加工食品を考えたいと思います。
古くから文化が発展し、食文化も発達してきたヨーロッパです。寒い地方から温かい地方まで同じヨーロッパ圏でもいろいろな土地があり、手に入る食材も違います。そうした背景からヨーロッパの中でもいろいろな加工食品が生まれました。
そのうちの幾つかは、既に日本でも欠かせない食品になっています。思い付くままに具体例を列挙しても把握しにくいので、農産物、水産物という感じで、大まかな食材の分類に沿ってヨーロッパ発の加工食品を考えてみたいと思います。
以上が代表的なヨーロッパ伝来の加工食品になります。どれも現在の日常生活に欠かせない食品ばかりです。既に多くの日本企業が類似の商品をオリジナルでリリースしています。
外から入ってきた商品を独自にアレンジして本場を超えるような商品にブラッシュアップしていく作業が日本人はとても上手なので、既に日本製の商品が本場の味に近付いた、あるいは超えてしまった例はいくらでもあります。
例えばビールの本場はドイツですが、ドイツ人のビールを国際的な大会で日本人のビールが上回ってしまったケースや、本場のウイスキーに肩を並べるようなウイスキーを日本人が作ったという例もあります。
ワインも最近では山梨を中心に日本全国で作られるようになり、既に本場の味に近付きつつあるという評価もあります。
ただ、日本がまだ本場に追い付いていない加工食品も実際にあります。例えばチーズです。同じ乳製品でもアイスクリームなどスイーツの分野では日本の商品がある意味で本場に追い付き、追い越した感もあるのですが、チーズ作りの世界では本場にはかなわない部分が多くあります。日本のチーズ作りは明治時代に開拓中の北海道で始まりましたが、現在でもその味は本場に及ばず、世界的にも日本のチーズの評価が高いとはいえない状態です。
パルメザンチーズはイタリア、エメンタールチーズはスイス、ゴーダチーズはオランダ、チェダーチーズはイギリス、エダムチーズはオランダ、ロックホールチーズはフランス、リンブルガーチーズはベルギー、カマンベールチーズはフランス、クリームチーズはイギリスと、やはり今でも本場の味が世界的に評価されています。
今の日本で外国から取り寄せる価値があるとすれば、チーズかもしれません。あるいはワイン、シャンパン、ウイスキーなどの酒類でしょうか。その他の加工食品は既に日本の食品が本場と同等、あるいはそれ以上の水準に達しているので、国産の商品で十分といえるかもしれません。